コラム1.XMLの概要と可能性
従来Webページは、HTML3.2で記述していましたが、現在ではHTML4.0(構造)とCSS2(表現)で分離して記述するよう奨められています。この未来形がXMLとXSLです。かといって、HTMLがXMLに置き換わることはないでしょう。両者は共存可能ですし、共存させる方が、インターネットユーザにとっては合理的です。
なぜなら、すべてのブラウザがXMLをサポートしているわけではないからです。
また、XMLは、強力なWebデータベースを実現しますが、さらに広範な用途で使うには、データをどのようにレイアウトして表示させるか、どのように扱うかといったことを定義しなければなりません。このスタイル定義に使うXSLの記述が、現状ではかなり厄介です。思い通りのデザインや、XMLを補足する機能を実現するには、手間と努力を要します。
しかしながら、HTMLと異なり、XMLでは、タグの名前を自由に決めることができます。この自由度が、計り知れないメリットを生み出します。
最大のメリットは、データ受け渡しのフォーマットが統一されることだと考えます。

従来は、図1のように、遠隔地にある複数台のパソコンを使ってデータを共有しようとすると、それぞれのパソコンにインストールしているソフトウェアが異なったり、ソフトがサポートするエクスポート/インポートの形式が異なったりといった制約があり、データを修正・変更しながら相互活用するには、データ互換に、かなりの時間と手間を費やしていたとおもいます。
たとえば、積算データや部品データを異なる企業間でやりとりして利用する場合、それぞれのCADにおいて、固有の形式で保存し利用するにはモンダイはないのですが、異なるCAD間あるいは異なる種類のソフトウェア間で、データをやりとりしようとすると、問題が生じる場合があります。
CSVありTXTあり、項目名の取り決めもなくマチマチで、積算ソフトからExcelにデータを読み込もうとすると、セルの列数にも気を使わなければきちんと渡せない、といった制約などもあるでしょう。
XMLが普及すると、図2のように、インターネットを使って、効率よく受け渡しできるようになることが期待できます。
特に、閉じられた世界、たとえば建設業界、鉄鋼業界、医療業界というように、各分野で、XMLのタグやデータの受け渡し方法が標準化されると、かなり管理・生産効率が上がるのではないかとおもわれます。
XMLのタグは、検索に用いることができます。要素名をキーワードとして、必要な情報を検索・抽出させたり、集計したりといったことが行なえます。また、XSLと組み合わせれば、ソートもできます。これらの制御は、VBScriptやJavaScriptを使って行ないます。もちろん、画像も扱うことができます。つまりWeb上で、図形データベースを扱うことができるというわけです。
そのため、XML技術の中にも、OBJECT IDを使ったデータバインドを使う方法がありますが、必ずしもOBJECTを使わなければ、データベースを扱えないというわけではありません。
優れたスクリプトライタなら、データバインドと、スクリプト・オンリーでの制御と、どちらがWebサイト開設の意義に合うか考慮して、手法を選ぶことができます。
ウェブサイト制作者は、IE4.0用DynamicHTMLのデータバインドと同じ感覚で、スクリプトのアイデアを生むことができます。
XMLとは、一言で言えば、インターネットやエクストラネットで、データベースを活用可能とする技術といえるかもしれません。
非常に可能性のある便利なXMLですが、個人サイトでは、まだまだ用途が限られるとおもいます。
ホームページの裾野を拡大してきたのは個人サイトのユニークさと、個人対個人のネット交流だとおもいますが、ことXMLに関しては、企業や官公庁による先導が、裾野拡大には重要だと考えます。
販売目的の商用サイトや、統一フォーマットを策定できる業界でのエクストラネットから、成果が生まれるような気がします。
経済活力の源である中小企業で、XMLというコトバが話題にのぼるようにならなければ、なかなか爆発的な普及は望めないのではないでしょうか。
懸念されるのは、仮に業界標準の統一フォーマットが策定されても、タダでさえ2000年問題で困惑している企業が、運用に付いていけるかどうかという問題が持ち上がるのではないかということです。
専任の担当者を付けることができる企業や商店は良いのですが、「パソコンを扱う業務は一日座っていられるからラクだ」「パソコンのメンテナンスや、時代に付いていくための業務は、通常の生産活動をこなしたうえですべきだ」という目で見られているネットワーク管理者の話を、イヤというほど耳にする状況下では、円滑な運用への道のりは、かなり厳しいでしょう。
ウェブデザイン技術情報の提供を行ないながら、一方で田舎のパソコン塾を主宰していると、その格差に慄然とすることが多々あります。まだまだパソコン自体に馴染んでいない人も多いのです。これでは、統一フォーマット以前の問題です。標準化された仕様は、全員がその仕様を理解して運用できてこそ、価値が生じてきます。XML技術とは無縁に見える地域のボトムアップが、実は、最大のテーマなのかもしれません。
XMLとXSLの使いかたには、いろいろな方法があります。
現時点で、広く使われると考えられるのは、次の4つの方法ではないかとおもいます。レガシーデータの活用をうたうだけなら、XMLでなくても、方法は他にも多々あるとおもいますが、XMLとXSLを使うからには、Webと関連付けることがのぞましいのではないでしょうか。
そのためには、まず、訪問者がHTMLファイルにアクセスし、XMLファイル中のデータをアクションに応じて得るという形から始めることになります。

(1)XMLのデータをCSS2で表現したHTMLファイルに表示させる。
(2)同一サーバ内、あるいは異なるサーバにあるURIの指定可能な複数のXMLのデータベースから、必要事項を検索し、CSS2で表現したHTMLファイルに表示させる。
(3)XMLのデータから必要データを検索、ソート、集計し、XSLで表現して、CSS2で表現したHTMLファイル上にフレーム等を使って表示させる。
(4)異なるサーバに蓄積されたXMLのデータベースを縦断して検索し、その結果をCSS2で表現したHTMLファイル上に返して表示させる。(サンプルはまだ作っていませんが、これがメインの使いかたになるとおもいます)
XMLは、まず、垣根を越えたデータベースの共有により事務処理が合理化できる職場(たとえば官公庁や医療関係)、設計から製造までの一貫合理化が可能な、いわゆるCALS思想が基本にある業界(製造業や物流)で役立つとおもいます。個人サイトでの活用には、まだまだ越えなければならないハードルがありますが、日常生活で役立たなければ、なかなか急速な進展は望めません。
そこで、次項では、日常的なテーマといえる「介護」について、XMLの活用方法を考えてみます。